5.建物滅失

登記済みの建物を取り壊すのに、役所で必要な手続きがあるのでしょうか。

相談内容

父から実家の土地と建物を相続したので、現在住んでいる賃貸マンションを解約して引っ越す予定です。ただ建物自体があまりにも老朽化しているため、ローンを組んで建替えを検討しています。相続の関連資料を見直したところ、遺産分割協議書に対象の建物が登記所に登記された建物であったことが記載されていました。老朽化した登記済の建物を取り壊しする際、何か必要な手続きがあるのでしょうか。

対応

登記記録がある建物を取り壊して新たに建物を建てて登記記録を作る場合、取り壊した建物の登記記録をそのままにしておくと、1軒に2つの登記記録がある状態になります。そうすると後に人手に渡ったときどちらが正式な登記記録なのかわからなくなるため、解体された建物の登記記録を抹消する手続き(建物滅失登記)を登記所に申請する必要があります。

建物滅失登記には添付書類として、解体業者の取壊証明書と印鑑証明書、解体業者が法人の場合は解体業者の代表者事項証明書を入手する必要があります。登記申請した後、登記官が現地調査を行い問題がなければ登記が完了するので、申請してから登記官の実地調査を含めては遅くても1ケ月程で手続きが完了します。

補足

建物滅失登記申請は、建物所有者が忘れがちな登記申請の一つです。この登記申請は、建物を所有している人が必ず申請しなければなりません。ただ取り壊し工事が完了してから1ケ月以内に手続しなければ、10万円以下の過料が処されてしまいます。土地家屋調査士に依頼した場合、費用は5~6万円程度かかり、依頼を受けてからは最短2週間ほどで完了します。

借地の上に建っている建物など複数の建物のうちの一棟を取り壊した場合は、詳細に建物の位置を特定する調査が必要となるため、土地家屋調査士に依頼したほうがいいでしょう。

松浦土地家屋調査士事務所 所長 松浦竜之介(まつうら たつのすけ)
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