1.未登記建物

実家を相続したら、未登記の建物があるんだけど……。

【相談内容】

両親が亡くなって、実家を相続することになり、役所に相続手続きに必要な書類を取りに行きました。帰宅して入手した書類を確認すると、建物の固定資産税評価証明書に課税額は記載されているものの、備考欄に「未登記」と記載されていました。このことについて役所の資産税課に問い合わせたところ、法務局に登記記録がないとの回答でした。「未登記」の場合、何か必要な手続きがあるのでしょうか。

【対応】

相談を受けて、固定資産税評価証明書を確認した上で、登記所で登記記録を確認したところ確かに未登記でした。ちなみに、建物の増築・減築をしていると、その部分を税務署が見落としているケースがあります。その場合は実際に現地調査をしないとわかりません。

今日の依頼はただの未登記だったので、亡くなった両親の建物である証明のために、建物記載事項証明書と建物評価証明書、戸籍謄本を入手しました。各書類の内容から建築年数がかなり経っていて工事人による証明書の入手が難しかったので、当事務所で上申書を作成して依頼者に署名・実印捺印をしてもらいました。その後、現地調査を行って建物の形状や敷地と建物の距離などの図面を作成して、登記所に表題登記の申請をしました。

【補足】

未登記とはどういうことかというと、登記所から登記識別情報(昔でいう権利書)が発行されていない建物ということになります。金融機関からの融資を受ける場合は、抵当権設定のため「表題登記」が必ず必要になりますが、それ以外はどこに強制されるわけでもないので、登記しないまま現在に至ることになります。ただ法律上は建物を新築した際の「表題登記」は義務であり、登記しないと「10万円以下の過料」の罰則が発生します。しかし、実際は過料に課すという通知を所有者が知る機会がなく、気づかないまま現在に至るケースが多いです。また、税務署は空中写真、外観からの現地調査、あれば建築確認通知書の図面を基に建物調査を行います。なので、吹抜けなど床面積に含まれない部分がある場合は、登記をしていないと建物の固定資産税をたくさん支払うことにも繋がります。相続するときに、未登記であることがわかって、増築などもまとめて登記するケースはよくあります。亡くなられた方でなければ分からない情報も多くあり、稀に調査が困難を極めた結果、費用も日数もかかる事があります。安心して財産を次の世代に引き継ぐために、気にないので、登記しないまま現在に至ることになります。ただ法律上は建物を新築した際の「表題登記」は義務であり、登記しないと「10万円以下の過料」の罰則が発生します。しかし、実際は過料に課すという通知を所有者が知る機会がなく、気づかないまま現在に至るケースが多いです。また、税務署は空中写真、外観からの現地調査、あれば建築確認通知書の図面を基に建物調査を行います。なので、吹抜けなど床面積に含まれない部分がある場合は、登記をしていないと建物の固定資産税をたくさん支払うことにも繋がります。相続するときに、未登記であることがわかって、増築などもまとめて登記するケースはよくあります。亡くなられた方でなければ分からない情報も多くあり、稀に調査が困難を極めた結果、費用も日数もかかる事があります。安心して財産を次の世代に引き継ぐために、気になる事があれば、土地家屋調査士に一度相談していみてはいかがでしょうか。

2.赤道の払い下げ

敷地の中に赤道(あかみち)があるのですが、その赤道を払い下げで自分のものにできますか…。

【相談内容】

両親が年をとり同居することにしたので、実家を二世帯住宅に建て替えることにしました。自分が相続する土地の広さを調べるべく、土地の謄本と公図を入手しました。すると、土地の真ん中に道路状の空白地がありました。登記所に確認したところ、現地に赤道という旧道があり現在まで役所で管理されず、自分が相続する土地の一部になっていることがわかりました。赤道のところを含めないと二世帯住宅を建てる広さを確保することができないので、自分のものにしたい。

【対応】

相談を受けて公図を確認したところ、確かにお客様の敷地を分断するような形で赤道がありました。そこでまず赤道に接する土地の地積測量図と公図を調べて赤道の位置を特定して境界確定をしました。そして役所の管財課と道路課に対して「払い下げ申請」と「境界確定申請」を行いました。道路課と境界確認書を取り交わしたあと、管財課が土地所有者へ土地の売却をする手続きなどを済ませて、当事務所が登記所へ「土地表題登記」の申請をしました。

【補足】

「赤道」は、昔に道路として使われていた土地で、公有地(国有地または市区町村地)になります。道の所有権は、次の2つの条件がそろえば自分のものにすることができます。

①登記所に備え付けられている図面には赤道が記してあるのに、現地へ行って確認したところ建物の敷地になっており、その公共物が道としての機能を果たしていない場合

②現地で道の存在を知らずに建物を建てて生活し続けたが、そこに建物を建てたとしても他人の通行を邪魔しておらず、国または地方自治体が道を維持管理するという理由も存在しないという場合

赤道をはじめとした「公共物の払い下げ」は、対応に書いたように国(財務省)または地方自治体の管財課や土木課に対して、非常に複雑な手続きを踏みます。また払い下げを受ける方は、占有する赤道の部分に対して土地を購入することになるため、お金を支払う必要があります。支払う金額は、基本的に払い下げを受ける土地の周辺の土地評価額と赤道として占有する面積から算出されます。このため公共物の払い下げに関する業務は、期間が通常の土地境界確定業務より多くかかり、手続きなどの費用もかかります。ただし、複数の土地を一つにまとめて管理ができ、かつ土地を売却する際に高い金額で売却できるため、時間と費用に余裕がある場合は、実施した方がいいでしょう。

もし、所有している土地で、登記所で公図を入手した結果、敷地内に赤道の存在が分かった場合は、一度ご相談ください。

3.境界確定

実際の土地がどのくらいの広さか知りたい。

相談内容

主人から土地と建物を相続して現在1人で住んでいますが、将来のことを考えて土地・建物を売却して老人ホームへの入居を考えています。きちんと土地・建物のことを知るために登記所へ行って登記簿を入手して確認したところ、所有している土地は過去に土地が分けられた土地の一部であるとの記録がありました。しかし、記載されている面積がどうやら実際使っている土地より少ない面積ではないかと感じました。実際の土地の広さがどのくらいで、いくらで売れるのか知りたいので、土地の測量を行ってほしい。

対応

登記簿の記録と実際の面積が違うのではということでしたので、登記簿でどのように土地が分けられた(分筆された)のか記載を確認した上で、地積測量図という図面を登記所で入手して確認しました。その結果、昔に二筆に分けられており依頼者の土地は公道に面しているものの、隣接地について境界点間の距離が記載されていないことがわかりました。

市役所の道路課へ行って話を聞いたところ、昭和時代に道路拡幅するべく対象土地を分筆したが境界確定は行っていないとの回答で、全ての境界において不明瞭であることが判明しました。そこで依頼者が所有している土地について測量を行い、隣接地所有者とは境界確認と立会を行いました。土地に面している公道については、市役所の道路課へ道路境界確定申請をして道路境界の立会をお願いして依頼者の土地との境界を決め、隣接地所有者と市役所、依頼者との間で境界確認書を取り交わしました。また登記簿記載の面積と実際に測量した面積との差を調べた結果、面積の数字の差が非常に大きかったため、実測した面積に修正するための登記(土地地積更正登記)を登記所へ申請しました。

補足

一つの土地が複数の土地に分けられた地積測量図のうち、一つの筆のみ辺長の数字が記載されていない筆があることがあります。これを残地分筆による地積測量図といい、面積の表記も登記簿の記載面積から、分筆した土地の面積を引いた値が表記されています。このような地積測量図は古い時代に作られたり、今回のケースのように道路を拡幅する際に分筆されたりした地積測量図に多く見られます。とはいえ、登記所へ備え付ける地積測量図は、一つの土地に対してすべての辺長の距離と境界点・境界標識の種類を記載しなければなりません。残地分筆は隣接地所有者と揉めていて境界が決まらない場合や、道路拡幅をするため速やかに用地を確保したいなどよほどのことがない限りすることができないため、登記所の職員(登記官)と綿密な打ち合わせが必要です。

4.境界標識復元

土地を相続したら、境界標識がなくなっているところがありました。

相談内容

父から実家の土地を相続することになり、その手続きのために登記所から登記簿謄本と地積測量図を入手しました。入手した地積測量図には、土地の4隅に境界標識の記載があったので、記載されている通りの標識が現地にあるかどうか確認しました。その結果、境界標識がない箇所がありました。隣接地との関係もあるのでお隣さんの立会いの上、新たに標識を埋設してほしい。

対応

相談を受けて地積測量図をもとに掘削などして現地調査を実施したところ、境界標識が亡失している箇所確認しました。ちなみに亡失している場合は、現在の状況の記録としてその状態を写真に収めます。地積測量図をもとに正確を期すため、自分でも現地測量を行いました。測量結果と入手した図面を比較検討し、誤差を示した図面を作成して境界標識の位置を計算で特定しました。計算した結果による境界点の位置を現地にて木杭もしくはペンキで明示し、その個所について隣接地所有者も立会のうえ確認をとりました。その後境界標識の埋設作業を実施し、埋設後の境界標識間の距離を確認して標識埋設の記録として写真を撮影しました。

補足

境界標識復元作業について、標識埋設作業前に境界の位置について隣接地所有者との立会・確認は必要です。境界標識が亡失しても測量作業で復元できますが、地積測量図が備え付けられていない場合は今後の境界争いへ発展しないよう境界立会・確認作業を終えた後に、境界確認書を取り交わすことが必要となります。また、境界標識が亡失した個所が公道と接するところであった場合は広範囲で道路の境界調査をし、依頼者をはじめ向こう三軒両隣の方と立会をする必要があります。

なお、境界標識が亡失しても、経年により付近の土や落ち葉で埋まっていることがあり掘削作業をした結果、境界標識が発見する場合もあります。なので、境界標識がないと気づいたときは一度、土地家屋調査士へご相談ください。

5.建物滅失

登記済みの建物を取り壊すのに、役所で必要な手続きがあるのでしょうか。

相談内容

父から実家の土地と建物を相続したので、現在住んでいる賃貸マンションを解約して引っ越す予定です。ただ建物自体があまりにも老朽化しているため、ローンを組んで建替えを検討しています。相続の関連資料を見直したところ、遺産分割協議書に対象の建物が登記所に登記された建物であったことが記載されていました。老朽化した登記済の建物を取り壊しする際、何か必要な手続きがあるのでしょうか。

対応

登記記録がある建物を取り壊して新たに建物を建てて登記記録を作る場合、取り壊した建物の登記記録をそのままにしておくと、1軒に2つの登記記録がある状態になります。そうすると後に人手に渡ったときどちらが正式な登記記録なのかわからなくなるため、解体された建物の登記記録を抹消する手続き(建物滅失登記)を登記所に申請する必要があります。

建物滅失登記には添付書類として、解体業者の取壊証明書と印鑑証明書、解体業者が法人の場合は解体業者の代表者事項証明書を入手する必要があります。登記申請した後、登記官が現地調査を行い問題がなければ登記が完了するので、申請してから登記官の実地調査を含めては遅くても1ケ月程で手続きが完了します。

補足

建物滅失登記申請は、建物所有者が忘れがちな登記申請の一つです。この登記申請は、建物を所有している人が必ず申請しなければなりません。ただ取り壊し工事が完了してから1ケ月以内に手続しなければ、10万円以下の過料が処されてしまいます。土地家屋調査士に依頼した場合、費用は5~6万円程度かかり、依頼を受けてからは最短2週間ほどで完了します。

借地の上に建っている建物など複数の建物のうちの一棟を取り壊した場合は、詳細に建物の位置を特定する調査が必要となるため、土地家屋調査士に依頼したほうがいいでしょう。

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