2.赤道の払い下げ

敷地の中に赤道(あかみち)があるのですが、その赤道を払い下げで自分のものにできますか…。

【相談内容】

両親が年をとり同居することにしたので、実家を二世帯住宅に建て替えることにしました。自分が相続する土地の広さを調べるべく、土地の謄本と公図を入手しました。すると、土地の真ん中に道路状の空白地がありました。登記所に確認したところ、現地に赤道という旧道があり現在まで役所で管理されず、自分が相続する土地の一部になっていることがわかりました。赤道のところを含めないと二世帯住宅を建てる広さを確保することができないので、自分のものにしたい。

【対応】

相談を受けて公図を確認したところ、確かにお客様の敷地を分断するような形で赤道がありました。そこでまず赤道に接する土地の地積測量図と公図を調べて赤道の位置を特定して境界確定をしました。そして役所の管財課と道路課に対して「払い下げ申請」と「境界確定申請」を行いました。道路課と境界確認書を取り交わしたあと、管財課が土地所有者へ土地の売却をする手続きなどを済ませて、当事務所が登記所へ「土地表題登記」の申請をしました。

【補足】

「赤道」は、昔に道路として使われていた土地で、公有地(国有地または市区町村地)になります。道の所有権は、次の2つの条件がそろえば自分のものにすることができます。

①登記所に備え付けられている図面には赤道が記してあるのに、現地へ行って確認したところ建物の敷地になっており、その公共物が道としての機能を果たしていない場合

②現地で道の存在を知らずに建物を建てて生活し続けたが、そこに建物を建てたとしても他人の通行を邪魔しておらず、国または地方自治体が道を維持管理するという理由も存在しないという場合

赤道をはじめとした「公共物の払い下げ」は、対応に書いたように国(財務省)または地方自治体の管財課や土木課に対して、非常に複雑な手続きを踏みます。また払い下げを受ける方は、占有する赤道の部分に対して土地を購入することになるため、お金を支払う必要があります。支払う金額は、基本的に払い下げを受ける土地の周辺の土地評価額と赤道として占有する面積から算出されます。このため公共物の払い下げに関する業務は、期間が通常の土地境界確定業務より多くかかり、手続きなどの費用もかかります。ただし、複数の土地を一つにまとめて管理ができ、かつ土地を売却する際に高い金額で売却できるため、時間と費用に余裕がある場合は、実施した方がいいでしょう。

もし、所有している土地で、登記所で公図を入手した結果、敷地内に赤道の存在が分かった場合は、一度ご相談ください。

松浦土地家屋調査士事務所 所長 松浦竜之介(まつうら たつのすけ)
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