3.境界確定

実際の土地がどのくらいの広さか知りたい。

相談内容

主人から土地と建物を相続して現在1人で住んでいますが、将来のことを考えて土地・建物を売却して老人ホームへの入居を考えています。きちんと土地・建物のことを知るために登記所へ行って登記簿を入手して確認したところ、所有している土地は過去に土地が分けられた土地の一部であるとの記録がありました。しかし、記載されている面積がどうやら実際使っている土地より少ない面積ではないかと感じました。実際の土地の広さがどのくらいで、いくらで売れるのか知りたいので、土地の測量を行ってほしい。

対応

登記簿の記録と実際の面積が違うのではということでしたので、登記簿でどのように土地が分けられた(分筆された)のか記載を確認した上で、地積測量図という図面を登記所で入手して確認しました。その結果、昔に二筆に分けられており依頼者の土地は公道に面しているものの、隣接地について境界点間の距離が記載されていないことがわかりました。

市役所の道路課へ行って話を聞いたところ、昭和時代に道路拡幅するべく対象土地を分筆したが境界確定は行っていないとの回答で、全ての境界において不明瞭であることが判明しました。そこで依頼者が所有している土地について測量を行い、隣接地所有者とは境界確認と立会を行いました。土地に面している公道については、市役所の道路課へ道路境界確定申請をして道路境界の立会をお願いして依頼者の土地との境界を決め、隣接地所有者と市役所、依頼者との間で境界確認書を取り交わしました。また登記簿記載の面積と実際に測量した面積との差を調べた結果、面積の数字の差が非常に大きかったため、実測した面積に修正するための登記(土地地積更正登記)を登記所へ申請しました。

補足

一つの土地が複数の土地に分けられた地積測量図のうち、一つの筆のみ辺長の数字が記載されていない筆があることがあります。これを残地分筆による地積測量図といい、面積の表記も登記簿の記載面積から、分筆した土地の面積を引いた値が表記されています。このような地積測量図は古い時代に作られたり、今回のケースのように道路を拡幅する際に分筆されたりした地積測量図に多く見られます。とはいえ、登記所へ備え付ける地積測量図は、一つの土地に対してすべての辺長の距離と境界点・境界標識の種類を記載しなければなりません。残地分筆は隣接地所有者と揉めていて境界が決まらない場合や、道路拡幅をするため速やかに用地を確保したいなどよほどのことがない限りすることができないため、登記所の職員(登記官)と綿密な打ち合わせが必要です。

松浦土地家屋調査士事務所 所長 松浦竜之介(まつうら たつのすけ)
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